December 13, 2024

シームレスでセキュアかつ高速: 明日のインテリジェント車両を支える Ferri-UFS

シームレスでセキュアかつ高速: 明日のインテリジェント車両を支える Ferri-UFS
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自動車の世界では、もはやA地点からB地点へと移動することだけが問題ではありません。今日のドライバーはそれ以上のもの、完全にコネクテッドな、データドリブンの、直感的な車内体験を求めています。これは車両をスマートでレスポンシブな環境に変容させるということです。リアルタイムでのナビゲーションや音声によるアシスタントから没入型インフォテインメント、先進運転支援システム(ADAS)まで、現代の車はインテリジェントマシンとなりつつあります。しかしその舞台裏には、それらすべてを可能にする、堅固でハイパフォーマンスなデータストレージという、知られざる自動車テクノロジーのヒーローが存在するのです。

画像1:よりスマートでコネクテッドな車両とインテリジェントなコックピットのために、シームレスでセキュアかつ高速のデータ処理を実現するFerri-UFS。

この車両革命の中核には、シリコン・モーションのFerri-UFSが存在します。これらのインテリジェントなコックピットシステムへの増大する要求に応えるために造られた、次世代のストレージソリューションです。車両がよりスマートでコネクテッドになるなか、Ferri-UFSは、現在ドライバーが期待する車内体験の実現に必要な、シームレスでセキュアかつ高速のデータ処理を提供しています(画像1)。それでは、Ferri-UFSを支えるテクノロジーとはどのようなものでしょうか。なぜそれが今日の車に不可欠であり、それがどのように未来の自動車産業を形成しつつあるのでしょうか。

いくつかのトレンドが、よりスマートでコネクテッドなコックピットへの移行を推進しています。例えば、運転支援システムや自動運転のさらなる高度化には、リアルタイムのデータ処理と、数値化された多様なデータの継続的なモニタリングが必要になります。加えて、車両とあらゆるものとの通信(V2X)(図1)や、個人用デバイスとの統合が一般化するにつれ、車はいまやより広範なデジタルエコシステムの一部となっています。また、ユーザー体験の重要性が増しており、ドライバーは直感的なインターフェースやロードタイムの短縮、シームレスなマルチメディアを求めており、これらはすべてがこのデータロードを扱う先進的ストレージソリューションを必要とします。

図1:車両とあらゆるものとの通信(V2X)により、インフラや他の車両、歩行者を始めとする周囲環境と車両のリアルタイムでの通信が可能となり、安全性とコネクティビティが向上します。

Ferri-UFSはこれらの要求に対応するうえで、他に類を見ない存在となっています。車載グレードのストレージソリューションとして、スムーズに作動するインテリジェントなコックピットの維持に必要なスピードと信頼性、エネルギー効率を提供します。このシステムの中心にFerri-UFSがあるからこそ、自動車設計者は、消費者が期待するハイパフォーマンスでコネクテッドな体験を実現することができます。

シリコン・モーションが自動車のコックピットでFerri-UFSに注力する理由

シリコン・モーションがインテリジェントなコックピットシステムに関してFerri-UFSへの注力を決意した理由は、ますます複雑化していく現代車両でした(画像2)。自動車環境はテクノロジーに関して最も難しい分野であり、極端な温度、振動、過酷な条件などのすべてが、速さや信頼性だけではなく、耐久性とエネルギー効率をも兼ね備えたストレージソリューションを必要としています。NANDフラッシュ・コントローラにおけるシリコン・モーションの専門知識は、これらの厳しい要件を満たすカスタマイズされたソリューションを開発することを可能にしてきました。

図2: Ferri-UFS

Ferri-UFSはUFS(ユニバーサル・フラット・ストレージ)3.1テクノロジーを活用し、最大11.6 Gbps (HS-G3 x 2レーン)のデータ転送スピードを提供し、eMMCなどの旧型テクノロジー(なかでも400MB/s HS400モード)よりも大幅に速くなっています。このスピードの向上がシステムの起動時間を短縮し、インスタントオンの利便性を実現します。また、リアルタイムでのマルチメディア再生、迅速なシステムの更新、素早くローディングできるナビゲーションシステムなど、ユーザーの期待に確実に応えることができます。デジタルアシスタントの起動でも3Dマップへの瞬時のアクセスでも、Ferri-UFSはシステムの遅滞ない応答を保証します。音声コントロールの管理やセンサーデータの転送、オーバーレイによる複合現実の作成、リアルタイムでの交通情報など、低レイテンシなリアルタイムでの応答機能が必要となる場面では、ハイスループットが不可欠です。

Ferri-UFSはスピードに加え、効率も重視して造られています。自動車の急速な電化とともに、パワーバジェットがますます重要性を持つようになり、ディープ・スリープ・モードのような機能が、システムが稼働していないときの電力消費を最小限に抑えるのに役立っています。エネルギーの保存が最優先事項となる電気自動車(EV)にとって、これは極めて重要です。さらに、シリコン・モーションは、データの信頼性と安定性を維持する先進的NAND管理テクノロジーを統合していますが、これはシステムのレジリエンスを確保するのに欠かせません。先進的NAND管理テクノロジーには、特定のメモリブロックの早期摩耗を防ぐウェアレベリングや、欠陥のあるメモリセルを特定して隔離するバッドブロック管理、クラッシュやデータ破壊を防ぐための誤り訂正符号(ECC)が含まれます。これは、データの完全性が損なわれれば深刻な事態となりかねない、ADASのような安全性が極めて重要なシステムにおいては、特に重要です。自動車にとってデータの完全性は、長い製品寿命の全体にわたり、また、耐久性が非常に重要となるオンロードおよびオフロードで遭遇する過酷な環境において、欠かすことができません。Ferri-UFSは、ストレス下でも完全性を維持することで威力を発揮します。

セキュリティと信頼性:自動車ストレージの中核

車のコネクティビティが増大するなかで、セキュリティへのニーズが高まっています。ますます多くのデータが処理され、車両間や個人デバイス間、クラウドプラットフォーム間で共有されるようになり、データの完全性とセキュリティの確保が非常に重要となっています。Ferri-UFSはこれらの課題に対して、自動車環境専用に設計された一連の堅固なセキュリティ機能をもって対応します。

最も重要なセキュリティ機能の1つは、セキュアブートであり、認証されたソフトウェアのみが車両内で実行できるようにします。これにより、不正アクセスを防止し、ありうるセキュリティ侵害から車のシステムを守ります。また、ファームウェアやソフトウェア更新を無線で受信したり提供したりするセキュアな方法も極めて重要です。Ferri-UFSは関連規格の遵守を促し、サイバーセキュリティに関連するISO21434と機能安全性に関連するISO26262をサポートしています。

Ferri-UFSはAEC-Q100を満たすための厳格なテストを受けており、それが自動車環境に見られる極端な条件下で機能する適格性を付与しています。極端な温度から機械的衝撃に至るまで、Ferri-UFSは車両のライフサイクルを通じて維持でき、信頼できるパフォーマンスを提供するように造られています。

シナジー効果を推進:自動車エコシステムのリーダーとFerri-UFSのコラボレーション

Ferri-UFSは単独で機能するわけではありません。次世代のインテリジェントな車両コックピットを推進するためには、他の先進的テクノロジーとのシームレスな統合が必要です。その重要なパートナーシップの1つが、クアルコム社との協力です。同社の自動車プラットフォームは、自動車メーカーが必要とするAI駆動の処理能力とマルチメディアサポートを提供します(画像3)。Ferri-UFSとクアルコム社の協働により、リアルタイムのアプリケーションや高スピードのデータ転送、迅速なマルチメディア再生を支援する包括的なソリューションを提供することができ、最新の車両が必要とするセキュリティと信頼性を維持することができます。エンジニアリングにおけるシリコン・モーションの強みは、コラボレーションの極めて重要な側面であり、素早いデータアクセスや電力効率の高い操作のためにファームウェアやソフトウェアを微調整するとともに、Ferri-UFSが車載SoCの処理テクノロジーの能力を完全に活用できるようにしています。

画像3:クアルコム社の自動車プラットフォームとFerri-UFS

自分の車を動かしてすぐにインフォテインメントシステムやナビゲーションの更新、ドライバーアシスタントの機能にアクセスできることを想像してみてください。システムの起動を待たずに、すべてのことができるのです。Ferri-UFSはこのような効果を現実世界にもたらします。車内システムの起動時間を短縮するその能力は、ドライバーや乗客が瞬時に車のテクノロジーとやり取りできるようにします。Ferri-UFSの高度なデータスループットと低レイテンシは、スピードだけではなく、スムーズで高解像度のメディア再生を保証し、ユーザーにすばらしい車内体験を創り出します。

クアルコム社の処理プラットフォームは、Ferri-UFSの高速でセキュアなストレージ能力と組み合わせることで、自動車メーカーが速いだけではなくレスポンシブかつ直感的でセキュアなコックピットを造ることを可能にします。

現実世界のアプリケーション:Ferri-UFSが威力を発揮する場所

Ferri-UFSはすでに自動車産業で足跡を残しています。インフォテインメントにおいては、Ferri-UFSの高速のデータ転送速度が、高解像度メディアのシームレスな再生とアプリケーションの素早いローディングを保証し、乗客によりよいユーザー体験を提供しています。ナビゲーションや運転支援については、Ferri-UFSは3Dマップやリアルタイムの交通データのような大規模なデータセットへのアクセスに必要なスピードと信頼性を、遅延や誤作動なしに提供しています。

世界でも先進的ないくつかの自動車メーカーが、すでにFerri-UFSを自社の車両に統合し、信頼性とパフォーマンスが極めて重要な現実世界の自動車環境の要求を満たすその能力を認識しています。

今後の展望:Ferri-UFSを導入したインテリジェントコックピットの未来

車の複雑性が増すなか、ストレージソリューションへの要求は高まる一方です。シリコン・モーションは、ストレージテクノロジーにおけるたゆまぬ進歩でこれらの将来の課題に対応する態勢を整えており、より速いデータ転送速度、より高い電力効率、より大きなストレージ能力を提供しています。AIの発展と、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)というアーキテクチャへの移行は、車内テクノロジーの限界をさらに押し広げることでしょう。これは、フル・フラッシュ・アップデートと無線によるオーバー・ジ・エア(FFU/OTA)の頻繁なデプロイメントに対処し、モジュラーアップグレードをサポートすることのできる、ストレージソリューションへの需要を高めることでしょう(図2)。Ferri-UFSは引き続き、この進化の形成で欠かせない役割を果たしていきます。

図2:OTAのプログラミングがファームウェア、ソフトウェア、暗号鍵の自動アップデートを可能に

今後を展望すると、インテリジェントなコックピットは、拡張現実(AR)のナビゲーションや予知保全、パーソナライズされたAI駆動の車内体験を統合し、さらに大量のデータを扱うことになるでしょう。Ferri-UFSは、ストレージソリューションが自動車テクノロジーの増大する複雑性に後れを取らないようにし、これらの課題に対応していく準備ができています。

Ferri-UFSで未来を推進

おそらく未来の車両は、予知保全やドライバーの行動分析、適応型ユーザー体験のようなAIベースのアプリケーションを広範に活用するようになると考えられます。ストレージソリューションは、データの扱いを最適化する革新的方法を提供することにより、これらのシステムのニーズを満たすべく進化していくでしょう。それには、大量のデータセットの素早い処理や検索が可能なストレージシステムが必要となりそうです。Ferri-UFSはすでにこの要件に適合しており、将来のインテリジェントなコックピットの基礎を提供しています。コネクテッドでデータドリブンな次世代の車両の開発を目指す自動車メーカーにとって、スピード、セキュリティ、エネルギー効率、耐久性を兼ね備えたFerri-UFSは、理想的な選択肢となっています。車がよりスマートで自律的になり、私たちのデジタルライフにさらに統合されるようになるなか、シリコン・モーションのFerri-UFSは、自動車産業の変革の原動力となり、その未来を推進していくことでしょう。

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