December 16, 2024

AI ロボティクス革命: リアルタイムデータと耐久性を支える Ferri ソリューション

AI ロボティクス革命: リアルタイムデータと耐久性を支える Ferri ソリューション
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現実世界に進出するロボット

地球上のロボット人口は増加を続け、サービスロボット、モバイルロボット、協働ロボット (コボット)、最新ヒューマノイドロボットなどの先駆者が人間に混じって活動しています。工場や自宅、公共空間で日常の作業をこなすとき、ロボットが同じ作業に従事している場面に遭遇する機会がますます増えていくでしょう。ヒューマノイドロボットは急速に進歩するロボティクス分野の象徴であり、人間の動作、手際、振る舞いを模擬して人間と同じ環境で作業にあたることを目指しています。生産性向上、重労働の支援、人間とのシームレスな交流を目指すロボットと位置付けられており、人間とロボットの今後の協力関係を表す存在です。

従来のロボットは、人間がほとんどいない管理された環境で活動していました。この環境には予期せぬ事象や物体は存在せず、移動経路や停止位置の指定に必要な画像マーカーやビーコンは明瞭で一貫性があります。ロボットがこうした制限区域からより広大な環境に進出すると、動的で予測不能な状況に遭遇します。この課題に対処するには、管理下にない予測不能な環境に適応し、不完全でノイズを伴うデータセットから判断する能力が求められます。この能力が特に重要となるのが、人間本位の環境で自律的に活動することを目指すヒューマノイドロボットです。

マシンビジョン、ナビゲーション、安全保護システム、人間との交流などの機能を扱うには、イメージセンサー、加速度センサー、LiDAR、環境センサー、マイクなどのセンサーを支える、柔軟・高速で電力効率の高い演算能力が欠かせません。AI モデルを導入すると、ロボットの認知、計画、ナビゲーションの能力を高められます。レスポンスの高速化、演算効率の強化、人間や周辺環境との対話能力改善にも AI は有用です。特に機械学習は、ヒューマノイドなどのロボットに、変化する状況に適応する力を与える技術です。現実の環境とより自然かつ自律的に関われるようになり、パフォーマンスと効率が向上します。

インテリジェンスとインタラクティブ性

AI を用いた自律型の技術としては、動的な障害物回避が挙げられます。これは、移動体や人間などの新しい障害物を検出した際に、ロボットの動作をリアルタイムに調整する機能です。A* やダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムを用いた長期的な経路計画にも AI は有用です。既知の環境でも未知の環境でもロボットを最適な経路で移動させることができます。さらに、オブジェクト分類や異常検出などのアルゴリズムを活用してセンシング能力と認知能力を強化すれば、障害物や人などの物体をリアルタイムに識別できます。

スマート製造業向けの AI 搭載自律モバイルロボット

こうした先進機能には、どのような利点があるのでしょうか。例えば、工場のモバイルロボットが過去の経路やエネルギー消費のフィードバックを基に学習し、移動経路の最適化とエネルギー消費の削減を達成できます。倉庫ロボットであれば、効率的な移動経路を計画して消費電力の高いセンサーとアクチュエーターを管理することで、バッテリーを効率的に利用できます。効率的な清掃経路を計画し、家具や予期せぬ障害物を避けて移動する自律型の掃除機も実現できます。手術中に腫瘍と健康な組織の区別、軌道修正の適用、意思決定支援を行う AI を活用した手術用ロボットも応用例の一つです。AI による音声認識機能を利用して宿泊客と交流し、情報提供や部屋への荷物の運搬を行うホテル用サービスロボットも考えられます。

学習には大量のデータが必要

現代的な AI の重要な要素である機械学習モデルは、大規模なデータセットを利用してパフォーマンスと正確さを継続的に改善します。このデータセットを素早く取得して長期保管するには、高い記憶密度と速度に加えて、高信頼性、低消費電力、メモリ空間の効率的管理を兼ね備えたメモリサブシステムが必要です。低消費電力が重要なのは、バッテリー寿命を延ばし、長時間利用時の発熱を最小限に抑えるためです。また、AI ロボットは機密データを扱うことが多いため、不正アクセスとサイバー攻撃を防ぐ高度な暗号化とファームウェア保護も求められます。

モバイルロボットやサービス用ロボットなど比較的小型のロボットでは、往々にしてサイズの制約もあります。こうした用途では、パフォーマンスを犠牲にしないスペース効率の高いストレージが必要です。また、継続的なアップタイムを確保し、途切れのない一貫したデータアクセスを提供するには、高い信頼性も求められます。医療や産業向けの用途で特に重要な要件です。

AI 対応メモリ

適切な機能を備えた不揮発性メモリは、AI 搭載ロボットのパフォーマンス、エネルギー効率、信頼性、セキュリティに関する高い目標の達成に貢献します。耐久性とスペース効率に優れたモジュールにメモリとコントローラを一体化した組込みマルチメディアカード (eMMC)、ソリッド・ステート・ドライブ (SSD)、ユニバーサル・フラッシュ・ストレージ (UFS) 規格メモリがその例で、当社では Ferri-eMMC、FerriSSD、Ferri-UFS が該当します。コンパクトなフォームファクタのおかげで、スペース制約の厳しい AI ロボットでもパフォーマンスを犠牲にすることなく搭載できます。

また、コントローラ内蔵なので統合が容易であり、ホストシステムによるメモリ管理も不要です。加えて、メモリのパフォーマンス強化のためにベンダーが特別に開発した専用機能もコントローラから提供できます。例として、Ferri ファミリーの製品には IntelligentScan™ と DataRefresh、NANDXtend® ECC、IntelligentThermal™、IntelligentShield™ などの機能が搭載されています。これらは、過酷な運用条件に置かれる AI ロボットに欠かせない長期的な耐久性とデータ完全性の強化に貢献します。

IntelligentScan と DataRefresh がデータ消失防止およびエラー訂正機能を確実に強化し、SSD の耐用年数を延長。

ストレージを慎重に選んで動的な電力管理アルゴリズムを搭載すれば、電力消費を大幅に軽減し、モバイル AI ロボットのバッテリー寿命を長期化できます。さらに、AES 256 ビット暗号化や IntelligentGuard™ などの機能を用いてエンドツーエンドでデータパスを保護すると、保存データやファームウェア IP をサイバー攻撃から保護できます。こうしたメモリ IC では IntelligentZones™ も利用します。IntelligentZones™ がデータを最適な形でセグメント化して効率的なブロックに配置するので、AI ロボットは大規模データセットに迅速にアクセスし、管理できます。 利用可能な容量を最大限活用して運用を効率化するのに役立つ機能です。この他にも、不安定な電源状態に対する高度な保護や、突然の電源喪失時にデータ破壊を防ぐテクノロジーが搭載されています。

IntelligentGuard™ テクノロジーが、SSD のファームウェアの認証および保護メカニズムを強化してブートのセキュリティを維持。

結論

ロボットが厳格に管理・保護された従来の環境の外に進出するにあたってロボティクスの未来の鍵を握るのは、AI の利用拡大です。安価な小型ロボット、協働ロボット、モバイルロボット、ヒューマノイドロボットが、スピード、持久力、器用さ、反復能力などの強みを活かし、人間に混じって活動するようになりました。その用途は、複雑な産業プロセスからサービス補助、日常の雑務、人間との交流まで多岐にわたります。ヒューマノイドロボットの事例が示すとおり、人間中心の環境でロボットにタスクを実行させる鍵は、AI と高度なメモリソリューションによって適応力と精巧度を強化することです。

一方で、機械学習を用いる AI 駆動型技術は大量のデータを扱うため、オンボードのシステムメモリのパフォーマンス、エネルギー効率、耐久性に関して厳しい要件を突きつけます。このような次世代ロボットの要件を満たすには、メモリソリューションを単なるコモディティ製品と見なさないことが重要です。BGA、SSD、eMMC、UFS チップなどの製品では、洗練されたコントローラが機能の差別化要因になることが少なくありません。こうした製品は、優れた安全性、セキュリティ、持続可能性を確保しつつ、長期にわたって優れた性能を発揮するロボットの開発に貢献します。

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